毎日の薬剤師 相談業務の際にご相談いただくことの多い内容について、今回は“寒さと高血圧”について詳しく解説したいと思います。
日に日に寒さを増してきました。こういった時期に気にすべきなのが「高血圧」です。
高血圧が気になっている患者さんは勿論、非常に多くいらっしゃいます。
そのため、薬剤師さんが日々されている相談業務でも患者様からご相談いただくことが多いのではないでしょうか。
高血圧とは血圧の上昇した状態をいいます。
「収縮期血圧140mmHg以上」または「拡張期血圧90mmHg以上」の状態で、通常診断をされています。
定期的に調整された血圧計で、身体の安定した時間帯に継続的に測定しなければならないのが前提となります。
昨今、自宅で計測できる簡易的な機器がさまざま手に入れることが出来るようになっているので、ほとんどの患者様が自宅でご自身で計測するようになっています。
血圧の測定値は変動が大きいことから、異なる時点で2回以上測定して、2つ以上の測定値を基に平均上昇を記録した上で、初めて高血圧症と診断しています。
高血圧症は本態性と二次性の2つのタイプに大きく分類されます。
本態性高血圧は原因が特定できず、患者の90%以上はこのタイプです。
二次性高血圧は特定可能な原因(腎臓病、原発性アルドステロン症、妊娠、薬剤など)によるもので、このタイプの高血圧は患者の5%に過ぎないのです。
持続性の本態性高血圧は、左心肥大を引き起こす恐れがあり、うっ血性心不全、心室性不整脈、心筋虚血および突然死など次々と多様な心臓合併症を引き起こす可能性があります。
コエンザイムQ10について
コエンザイムQ10は、ユビキノンまたはユビキノールとして知られています。自然発生するもので、ミトコンドリア、特に心筋内に高濃度で存在します。
体内で十分量のコエンザイムQ10が作られるため、コエンザイムQ10はビタミンとみなされていません。
肉や魚介類の食事には少量含まれていますが、体内レベルは20歳になるまでが最高で、加齢とともに徐々に減少していきます。
コエンザイムQ10は抗酸化作用をもち、アデノシン3リン酸(ATP)産生において役割を担っています。
心臓病(うっ血性心不全や高血圧症)や筋ジストロフィー、パーキンソン病、癌、糖尿病およびHIV/エイズ患者には少量の存在しか認められていないのです。
高血圧症において、コエンザイムQ10は内皮細胞依存性動脈拡張を強化し、内皮細胞依存性血管拡張を改善すると考えられており、全末梢抵抗と収縮期血圧が低下すると考えられています。
ω‐3系不飽和脂肪酸(魚油)について
ω‐3系不飽和脂肪酸は体内で合成されず食事や補給を通じて得なければならないことから極めて重要です。
ω‐3系不飽和脂肪酸には、主に魚介類に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)、さらに大豆やキャノーラ油、ナッツ類、亜麻仁および月見草オイルに含まれるα‐リノレン酸(ALA)の3種類があります。
心血管病に関与していると考えられているのはEPAとDHAです。
ALAがEPA、さらにはDHAに変換される過程は極めて効率が悪いことから(~10%)、魚油はω‐3系不飽和脂肪酸の摂取源としてすすめられています。
魚油はプロスタグランジンE2代謝産物を減少させます。
トロンボキサンA2(強力な血管収縮物質であるとともに血小板凝集物質)を減少させ、トロンボキサンA3(弱い血管収縮物質)を増加、プロスタサイクリンPGI3(血小板凝集を抑制する血管拡張物質)を増加させます。これらの作用が組み合わさって血圧を低下させます。
今回ご紹介をしたサプリメント療法は、今日から明日からでも取り組むことができます。
薬剤師さんの相談業務時に上記内容を是非お役立ていただきたいと思います!