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サプリメントトピックス 2019.10.11 あなたの性格まで変えてしまう?偏食に潜む危険性–医療現場での食事指導経験から–

この記事の執筆者
那須 由紀子 ( ナス ユキコ )

日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション Pre-Nutrition(プレ・ニュートリション)
病院勤務にて、内科・外科・精神科・歯科、小児科、産科など、全診療科を経験。栄養管理数約1万人。 2018.7月 食はあなたの人格を作り人生の良し悪しを決める!『栄養で人生は変わる』旭屋出版より出版。 2018年度から始まった制度、栄養ケア・ステーションの認定を受け立ち上げ。

自己紹介

一人でも多くの精神疾患の患者様が良くなることを願って、分子整合栄養医学を広めたいと思っております。

 

目次

1.食傾向と人格には関連性がある
2.オーソモレキュラー医学を知って
3.偏食の改善が健康への近道に
4.最後に

オーソモレキュラー医学は、精神疾患における治療法として広まったことで知られています。長年病院に勤務した経験から、私はこれまで多くの高齢者を見てきました。そんな中、偏食のある患者さんが、食事に対して、また、それ以外に対しても文句を言う傾向があることに気づきました。

その理由として、体内において脳が栄養を多く使用していることに加え、栄養素は単体では働かないという脳と栄養の関係における大前提があります。栄養の過不足が脳内神経伝達物質の合成に関わり、良い感情・悪い感情を左右し、長年の栄養の過不足がその人の人格を形成していると言っても過言ではありません。以上の点から、心身の健康を維持する意味でも日頃の摂取食品の偏りをチェックしてみることをおすすめします。

 

食傾向と人格には関連性がある?

オーソモレキュラー医学とは、食事とサプリメントの摂取により栄養バランスを整え、さらに足りない栄養素はサプリメントで補い、細胞レベルでの改善を促すという栄養療法です。日本においては、精神疾患における栄養療法の重要性がまだ十分に認識されていないため、この療法が広まることが辛い思いをしている患者さんの救済につながると確信しています。

これまで病院での臨床経験を積んできましたが、食事中の患者さんを見ていると、食傾向が病態に影響を与えていることに気付かされました。例えば、内分泌疾患の患者さんには野菜嫌いの傾向、精神疾患の患者さんには糖質の過剰摂取傾向といった、病態別の食傾向が見受けられました。こうした経験からも、私は病態と食傾向が全くの別物とは思えません。

 

オーソモレキュラー医学を知って

私がオーソモレキュラー医学を学ぶきっかけとなったのは、先にも述べた長年にわたる病院での経験でした。患者さんを見ている中で、偏食の有無が人格形成に与える影響に気付いたのです。一般的には、栄養と精神疾患には直接的な関係はないとされています。ですが、①脳が最も栄養素を使っていること ②栄養素は単体では働かないことから、脳と栄養は大いに関係があるのではないか、と考えました。

そこで、脳の栄養についてもっと深く学びたいと決意し、出会ったのがオーソモレキュラー医学でした。学びを深めていくことで、“感情”を司る脳内神経伝達物質は栄養でできており、やはり栄養素は単体では働かないこと、そして長年にわたる栄養の過不足が脳内神経伝達物質の合成に関わり、人格形成に影響を与えていることがわかりました。

 

偏食の改善が健康への近道に

私は、その患者さんが日々の食生活において口にしない食品・嫌いな食品に多く含まれる栄養素が入っているサプリメントで栄養素を補うと、患者さんの血液検査の結果がよくなるという経験を幾度となく見てきました。 しかしながら、「サプリメントで足りない栄養素を補えば血液検査がよくなる」と言って、今まで通り偏食してもいいじゃないか、という考え方はとても危険です。

と言いますのも、偏食の有無は病気を招くのみならず、状況によっては精神疾患の原因につながる可能性もあるからです。過剰摂取している食品の制限および原因食材の除去、血液検査、主訴、症状などから必要な栄養素を探るのはもちろんですが、偏食傾向や嫌いな食べ物があるかを聞き出し、足りない栄養素と食品を補うことを推奨いたします。

このようなお話をすると、「それでは、何を食べればいいのですか?」と栄養指導中に聞かれることがあります。人は特定の条件を提示された方がわかりやすく、行動に移しやすいものです。しかし、医師や管理栄養士から特定の食品を勧められると、たとえ調子が良くなったとしてもその食品を食べ続ける傾向があります。

「ある食品が○○に効く」とメディアで報道されるとそればかり摂取し、実は“その食材”の食べ過ぎが原因で、その後の体調不良を起こしていた患者さんの症例を目の当たりにしたことのある先生もいらっしゃるかと思います。こうした状況を防ぐために、一切口にしない食品とよく食べる食品を把握する栄養指導により、偏食の有無を確認することは予防医学の観点からも有効であると考えています。

 

最後に

偏食に関しては、子どもの頃からの習慣が根底にあります。ある習慣を意識的に変えるのは、容易ではないでしょう。しかしながら、偏食の改善が精神的・肉体的健康を維持するためには重要です。始めにも食傾向が病態に影響を与える傾向についてお話ししましたが、私から見た精神疾患の患者さんの特徴としては、①ジュースや甘い物など砂糖を多く含む食品の摂取過多傾向があること②ある食品の偏食傾向があること 以上の2点が挙げられます。

大人になってからの偏食の改善はなかなか難しいので、現在小さなお子様を子育て中の方は、食事内容(間食も含む)をメモに書き出してみるなどして、一度偏食の有無をチェックすることをおすすめいたします。例えば、毎日あるお菓子を口にしている場合、まずは週3日までに制限してみるといったように、無理のない範囲でルールを決めてみるのも良いかと思います。

オーソモレキュラー医学の実践により、一人でも多くの患者さんの症状が改善することを祈っております。

 

出典 「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」